新橋の古本市で見つけた河出書房の文学全集。


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2011年3月11日から時間が止まったままの人たちがいます。どんなに周りが「復興、復興」と叫んでも、前には進めない人たちがいるのです。
気持ちだけでも前に進めようと、どれほど念じたか知れません。
それでも、心はあの日に縛られたまま、結局は動こうとしないのです。
周囲の声はただ空しいだけ。
この気持ちは誰にも分からない。分からなくていい。
強い人間ばかりでない。
時間が解決してくれることばかりではない。
そうした思いの人たちが大勢いることもまた事実なのです。

私の父親の時計もまた、45年間止まったままです。
母の人生もきっと同じ時刻に止まっているのでしょう。
私は息子として、そんな両親の下で育ってきました。
それでも時は過ぎ、肉体も精神も、時代もまた変化し、栄枯盛衰が繰り返されます。

確かに、過去にこだわらない生き方には、潔さや強さを感じます。
しかし、私は過去にとらわれる人々に愛着を感じるのです。

「過去」とはなにか。
忘れるものだろうか。
縛り付けるものだろうか。
それとも、生かすものだろうか。

人の「過去」には、その人の生きる意味が隠れている気がします。
私が「自分史」を仕事にしようとした理由は、おそらくそのあたりにあるのでしょう。

写真は、新橋の古本市で見つけた河出書房の文学全集。
当時父が発行人として指揮したものですが、このシリーズの刊行中に、倒産。会社(河出書房新社)は人手に渡りました。私が生まれて一ヵ月後のことです。

私は45年の時を経て、しみじみと父の自慢の本を手に取りました。


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