【名も無き記憶たち001】

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【名も無き記憶たち001】

病める吾を残し出で発つ中隊の軍靴の音のやがて遠のく

その足に故国の土を如何ばかり踏みたりしか斃れし戦友は

戦地で赤痢を患い、命を留めて帰国した著者。
生きて還ることを恥と教え込まれた若き日を振り返り、詠みあげている。
表現は短歌であっても、これも確かに「自分史」である。
説明などなくとも、その光景は目に浮かび、複雑な心中を読み手に想像させる。

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